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一般にネイリスト1級と呼ばれている資格は、正式に言うと「JNEC技能検定1級」のこと。1級というくらいなので、もちろんネイリストとしての等級は最高峰。1級を持っているだけでプロとみなされるので、たとえサロンワーク未経験だったとしても、就職に有利と言えるでしょう。
実技試験・筆記試験、ともにトップネイリストとして必要な知識を網羅的に試されるため、試験に合格するためには一筋縄の努力では不可能。合格率も30%少々であることを考えると、どんなに難しい試験なのかをイメージすることができるでしょう。
ネイリストの資格は国家資格ではありません。したがって、本人に技術力とやる気さえあれば、資格を取得していなくてもネイルサロンで働いたり、ネイルサロンを開業したりすることもできます。
でも、正直、ネイリストの資格を持っていない人に施術してもらうのは少々気が引けますよね。お客さんはきっと不安になるはずです。無資格でも就職・開業できるとは言え、現実的に無資格ではお客さんが集まらないでしょう。
さらに考えてみましょう。あなたがネイルサロンのお客さんだったとして、3級の人に施術をしてもらうのと1級の人に施術をしてもらうのとでは、どちらが良いでしょうか? 当然ですが、1級の人に施術をしてもらいたいですよね。
資格が上位であればあるほど、お客さんからの信頼も集まります。固定のお客さんも増えれば、それだけ仕事も増えます。その結果、技術により磨きがかかっていくでしょう。
この発想は開業するときでも同じ。信頼ある1級の資格を持っているからこそお客さんがたくさん集まり、お客さんがたくさん集まるからこそ、プロとしての技術力も上がっていきます。
ネイリストを一生の仕事にするならば、ぜひ1級の取得を目指しましょう!
ネイリスト1級の受験資格は一つだけ。2級に合格していることです。
ただし2級の試験を受けるには3級に合格していることが前提なので、3級、2級と順番に2つの試験に受かっていなければなりません。
他の資格試験の中には、複数の級を同時に受けられるタイプのものもありますが、ネイリストの試験は同時受験は不可。一つ一つ、順番に合格していかなければなりません。1級は、それだけ長い道のりなのです。
なお3級を受けるための受験資格として「義務教育修了」があります。中学校を卒業していれば、高校を卒業していなくても受験が可能。ネイリスト資格は、すべての人に開かれた資格と言うことができますね。
2017年10月現在、JNECは公式ホームページにおいて2016年秋期までの累計合格率を公表しています。それによると、1級の合格率は36.43%。なんと3人に1人の割合でしか合格していません。1級を受けるまでに相当な勉強量を積んできた人たちだけが受験し、しかもその中で3人に1人の合格率…。かなりの難関資格と言っても良いでしょう。
ただし高校入試などと違って、得点順に上位〇人が合格、という仕組みではありません。実技試験で76%以上、筆記試験で80%をクリアした人は全員合格です。その点においては、難易度は異なるものの車の運転免許のようなシステムですね。
ちなみに同じく2016年秋期までのデータにおいて、3級合格率は83.16%、2級合格率は39.55%。級が上位になるにつれて、合格率が下がっていくことが分かります。
ネイリスト検定1級試験の当日の試験スケジュールは次のようになります。
とても長丁場です。試験を受けるほうも大変ですが、モデルさんもかなり大変ですね。
実技試験の内容は次の通り。それぞれ公式ホームページから転載しています。
筆記試験はネイルの歴史、化粧品学、衛生と消毒、爪の病気とトラブル、爪の構造、ネイルケアの手順、イクステンションの手順などの分野から、マークシート形式で出題されます。
2016年までは、アクリルスカルプチュアの長さは1cmと決められていたのですが、2017年春期の試験から5mm~10mmと長さが変更されました。長さが変わった理由は、時代的な背景によるところが大きいのではと考えられていますが、いずれにせよこれまで1級の試験を受けて来た人は、ずっと1cmの長さで練習をしていると思います。
長さが変わったことにより、仕上がりが変わってしまう可能性は大いに考えられますので、現在決められている長さでしっかり練習をしておくことが大切です。
1級の試験では、1本の指だけを採点するのではなく、指全体を見て評価されます。このため、1本1本のネイルの仕上がりにばらつきがあると、見た目が悪くなり評価が下がってしまう可能性があります。
素晴らしい仕上がりが1本だけあるよりも、8割方きれいに仕上がっている指がたくさんあるほうが、見た目の印象がよくなり高い採点を得ることができると思われますので、仕上がりをできるだけ揃えるように練習しましょう。
1級の実技試験は150分としっかり時間をとってあるのが特徴です。
150分あれば、一部失敗してしまったとしてもしっかり修正することができるのですが、失敗してしまうと慌てたり焦ったりして、思うように自分のペースで実技を行えないことが多いです。
せっかく時間があるのに自分の思うネイルができないのはもったいないですよね。本番でも緊張しないような集中力を養い、実技試験ではどっしり構えて臨めるようにメンタル面を鍛えておくことも重要だと思います。
できるだけの時間を割いて練習したり、学科の勉強をすることはもちろん大切なのですが、最終日は準備や仕込みを中心に行いましょう。チップのサイズを合わせたり、予備を準備したり、モデルのハンドケアを行うなどといった準備は、実技試験においてとても重要です。
そのためにも、早い段階から練習を始めて、最終日には余裕を持って準備時間に充てることができるようにしたいですね。
3級や2級ではポリッシュを使用した実技試験だったのに対し、1級ではアクリル用品に変わります。試験内容が異なるので当然といえば当然なのですが、セッティング内容が変わったとしてもあまり混乱することのないよう、落ち着いて実技試験に臨みましょう。
2級まででは防水シートやキッチンペーパーなど、白やピンクのものを用いる人も多いですが、スカルプのアウトラインを見るのに黒いほうが見やすいため、テーブルセッティングのカラーについては、黒系で統一する人が多いようです。1番下にシートを縦に3枚並べて敷いて、ずれないようにテープで固定します。また、1級の場合はカットがスクエアになりますので、チップカッターを導入すると便利です。
3級や2級と違い、1級には前半後半がありません。また時間配分についても自分で自由に組み立てられるのが特徴です。それだけに効率よく進めていかなければなりません。以下は時間配分の一例になりますので、目安にしてみてください。
実技試験が開始されたら、まず手指の消毒を行い、7本の指をサンディングします。サンディングは右手5本、左手2本です。それから、プレプライマーを塗布します。
10分経過するまでに、左手の中指と薬指にチップを装着します。グルーが乾くまでに時間がかかるときは、その間に右手にプレプライマーを塗布しておくとよいでしょう。
25分が経過するまでに、左手の中指と薬指のアプリケーションを行います。ミクスチュアを1~3ボール、ピンチングを根本からストレスポイントまで1本30秒で行い、足りないところがあったらミクスチュアを足して形を整えてください。
55分が経過するまでに、右手のスカルプチュアのアプリケーションを行います。中指、人差し指、薬指、小指、親指の順番です。
ウォッシャブルファイルをすべての指に行います。厚みが出てしまったところは表面にも150Gのバッファーを使って整えます。1本ずつ仕上げるのではなく、7本それぞれバランスを取りながら整えていくのがポイントです。
7本すべての指をスポンジファイルで整えます。バッファーは100Gから280Gまで、順番に使用していきます。
すべての指のシャイニングを行います。ここでシャイナーをしたら、1枚目の防水シートを捨てます。
左手の人差し指にミックスメディアアートを施します。それぞれのアートを時間配分しながら丁寧に行っていきます。
シャイニングと修正作業を行います。全体的にバランスよく仕上がっているかを見ながら、必要なところに修正を入ます。バリやダストは丁寧に取り除き、時間ギリギリまでシャイナーを行いましょう。
合否を知る方法は2種類。web発表とハガキによる発表です。
web発表は、JNECの公式ホームページにて、受験級、受験番号、生年月日を入力して「合否判定結果」というボタンをクリック!これで合否が即座に分かります。
また試験の一ヶ月後には、合否を知らせるハガキが自宅に郵送されるので、こちらで結果を知ることもできます。
合格した人は、後日、合格証書(ディプロマ)が自宅に郵送されます。ちなみに合格証書のトップには、色付きで大きく「〇級認定書」と書いてあるのですが、3級の場合は色が銅、2級の場合は色が銀、1級の場合は色が金になります。ネイリストになるなら、ぜひ金メダルを目指してくださいね!